【関連会社事例紹介】


ニュージャパンマリン九州株式会社、準天頂衛星「みちびき」を活用した自動離着岸ボートの開発に成功

― カタマラン船と衛星測位の融合が切り拓く、海上モビリティの未来 ―

 

弊社の関連会社である ニュージャパンマリン九州株式会社(NJMK) は、 “内閣府が推進する「準天頂衛星システム(QZSS)」”の高精度測位技術を用い、自動で離岸・着岸できる小型ボートの開発と実証実験に成功しました。

この取り組みは、 “2019年度「みちびき利用実証実験」”に採択され、本件に関する特許も3件取得。宇宙技術を活用した海上モビリティの実用化に向けた先行事例として、みちびきを用いた船舶の離着岸・操船システム『ピタットシステム』の開発に成功。全国から注目を集めています。

 

 

ニュージャパンマリン九州とは…船舶製造のパイオニア企業

大分県国東市に本社を置くNJMKは、プレジャーボートや防衛省向け船舶、東京都の水上タクシー、水面清掃船など、多様な小型船舶の設計・製造を行う企業です。自社ブランド『NJMブランド』の小型プレジャーボートを設計から生産まで一貫して手がけています。中でも、国内で唯一自社が製造するカタマラン型(双胴型)プレジャーボートは、設計が難しく製造も困難ですが、それを可能にする技術力が当社の大きな強みです。

 

主な特徴・技術

  • 国内で唯一、カタマラン型(双胴型)ボートを量産
  • FRP(繊維強化プラスチック)を活かした軽量・高剛性構造
  • 自社設計・生産体制(CAD/3Dプリンター/スプレーアップ機ほか)

 

自動離着岸技術の概要:みちびき(QZSS)の高精度測位を活用

港湾や桟橋での離着岸は、天候・潮流・操縦者の技量によって大きく影響される最も難易度の高い操船技術の一つです。NJMKは、操船者の負担を軽減し、だれでも安全にボートを扱える社会の実現を目指し、 “高精度衛星測位(QZSS)”と船体制御システムで自動化する技術開発に取り組みました。下記から動画・画像合わせて着岸の様子がご覧いただけます。

🔗ニュージャパンマリン九州HPより、自動離着岸の様子はコチラ!

 

実証システムの構成と動作

成要素内容
GNSS受信機「みちびき(QZSS)」対応、RTK測位で誤差数cmレベルの位置検出を実現
マイコン制御ユニットボートのスラスターや舵をリアルタイム制御
ルート設定機能事前に設定した航路・停止位置に沿って自律運航
接岸・離岸動作停止ポイントや岸壁との距離を自動判断し減速・停止する自律着岸制御を搭載

 

自動着岸・離岸の基本動作フロー

【1】ボート前方と両舷後方に、合計3基のアンテナを設置し、みちびきから送信されるセンチメータ級測位補強情報を利用して高精度測位を行う

【2】ボートの動きの中心となる「回頭中心」の位置と、ボートの方位・姿勢を演算により取得

【3】ウェイポイント(目標到達のための通過点)を経て、離岸前に座標値を取得した所定の位置に停止できるよう、ボートのスラスタ(両舷前方、ハの字に2基)を制御する

 

↑スラスター配置船尾構造(特許取得)(OPT)を備えた新型クルーザーNSB335

 

社会実装を見据えた成果

実証成果(2019年、国東市のNJMK敷地内にて)

  • 接岸時の停止精度:±数十cm以内を達成
  • 着岸の繰り返し性能も安定。風の影響下でも実用範囲内のズレに収まりました。

この技術をプレジャーボートだけでなく、大型商船等への展開も意識した開発を今後進めていきたいと思っております。

 

関連リンク

🔗内閣府「みちびき」ユーザー事例(NJMK)公式ページはこちら

 

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